J2リーグ第21節

柏レイソル-ヴァンフォーレ甲府
7月7日七夕の日、5位柏レイソル、6位ヴァンフォーレ甲府のJ2リーグ上位対決は柏が甲府をホームに迎えた。雨は試合が進むにつれ次第に止んでいくコンデションの中、前試合の天皇杯を違った内容で勝利した両チームは中3日というスケジュールでこの試合に挑んだ。

柏は前回と同様、基本フォーメーション4−4−2、甲府は基本フォーメーション3−4−3で試合が始まった。
見所として、柏は前試合の天皇杯に出場した9人を変えずスターティングメンバーに起用、ツートップの左にはケニア代表に選出されアフリカネーションズカップのグループリーグ、タンザニア戦ではオーバーヘッドとゴール右隅を狙ったシュートで2得点し、ケニア代表を勝利に導いたマイケル・オルンガを配置した点。
甲府は、体調不良明けから2試合振りに復帰したピーター・ウタカをトップ、怪我から3試合振りに復帰した小出悠太をセンターバックに置き、ゴールキーパーは前節終了間際、退場になった河田晃平の代わりに今シーズン初出場の岡西宏祐を起用。岡西は、2016年J1リーグで出場以来3年振りのリーグ戦出場であり、昨年、カップ戦では4試合に出場している。また、甲府は直近の4試合でセットプレーから先制点を許しているといった点を注目してみた。
今シーズン甲府は31得点でリーグ最高得点、柏は失点12でリーグ最少失点という部分も注目するポイントだった。
狙いは決まっていた両チーム
試合は前半から柏が主導権を握りながら、甲府のセンターバックの背後を狙ったり、ロングボールで長身のオルンガを生かしたり、そのセカンドボールを回収など、点を取る手段がはっきりと決まっていた。その中で、ワンタッチで裏へロングパスを出す手塚康平や、セカンドボールを回収しドリブルで突破する江坂任などを見ていると、前試合から引き続き、個人技が光っていた印象だ。
甲府は、デフェンスラインを調整し柏のロングパスに対応、意図的にオフサイドにしているような守備だった。また、攻撃では中盤からのショートカウンターで、前線から中盤に降りてきたウタカにパス、そこからウタカの個人技とゴール前でのアイデアでゴールを狙っていた。しかし、ウタカは前線での楔になるようなプレーは目立っていたが、ロングボールで競り勝った場面はあまり見られなかった。
前半13分江坂が中央をドリブルで突破しクリスティアーノにパスという決定機を演出したがGK岡西のファインセーブ、しかしその前にオフサイドがあった。この試合の江坂はポジションをトップ下気味に取り、オルンガとクリスティアーノが利き足でシュートができるように効果的なパスを出していた。また、ここでの岡西のファインセーブは今シーズン、リーグ戦初出場を感じさせないプレーだった。
前半24分甲府の武岡優斗がプレッシャーを剥がしウタカにパス、そこからウタカが中央を突破し逆足でシュート、これはGK中村航輔のファインセーブがあった。前半の甲府の決定機はこれぐらいだった。
そして前半35分柏に先制点が生まれる。江坂からクリスティアーノ、抜け出したオルンガへとワンタッチでパスを繋ぎ、江坂がディフェンダーを釣ることによりできたスペースに、オルンガがクロスを入れ、クリスティアーノがダイレクトボレー。これがバーをかすめながらもゴール右隅に決まる。GKも動けないすばらしいゴールだった。この場面で甲府はポジションを5−3−2に変えようとしており、マークがずれていたため失点してしまったのだろう。
前半アディショナルタイム、中盤でボールをカットしたところからヒシャルジソンの浮き玉のパスに反応したオルンガが1対1の強さを生かし最後は流し込んで追加点。柏が2点をリードし前半を折り返した。
作戦通りにいった甲府、競り勝った柏
後半開始から、甲府は森晃太を交代してドゥドゥを投入。46分甲府は作戦通り出鼻をくじくプレーでゴール前の混戦の中、佐藤和弘が1点を返した。ここでの柏の守備としてはドゥドゥをフリーにしていた点が失点の原因だろう。後半に入ってから甲府のカウンターはドゥドゥのスピードとウタカのゴール前での豊富なアイデアで二人だけでも点が取れるクオリティだった。
後半60分、抜け出したオルンガから後ろでフリーだった小池龍太にパス、小池のクロスを松橋優がクリアミスし、流れたボールを江坂の胸トラップから左足を振り抜きシュート、GKは一歩も動けずゴール右隅に吸い込まれた。ここでの甲府の守備は、松橋のクリアミスも原因だが小池ほどの選手をフリーでクロスを上げさせてしまったことが失点につながったのだろう。
後半73分再び甲府が得点する。右のアタッキングサードで数的有利を作り、武岡のクロスから佐藤のシュート、GKが弾いたところに再びシュートし、佐藤はこの試合で2点目を決めた。この甲府の攻撃は完璧の崩しだった。
しかし、後半77分、競り勝ったオルンガの逸らしたボールから、抜け出した江坂が左足でコントロール、ドリブルで上がりキーパーの動きを冷静に判断しアウトで流し込んだ。後半アディショナルタイムにはGKの中村が1対1を絶妙な間合いでセーブした場面もあった。そして4−2で柏が勝利した。
審判の判定
この試合、さまざまな審判の判定が随所に見られた。
前半33分、江坂のクロスをエデル・リマが頭でクリアしたように見えたが明らかにハンドだったし、後半66分の染谷の守備もハンドになりかねないプレーだった。VARがあったら確実にハンドの判定だったであろう。また、後半、副審がオフサイドフラッグはっきりと上げなかった場面も見受けられた。
この試合で印象的だったのは、後半63分の甲府の小椋祥平と柏のネルシーニョ監督が交錯した場面であろう。小椋にイエローカードが出なかったのは幸運だったかもしれない。
まずひとこと言えるのは、柏というチーム自体がそうなのだが、J2のチームではないと思った。特に、ヒシャルジソンはJ2の選手ではない。
甲府は仙台に移籍した道渕と千葉のハイラインの一人となった堀米がいなくなって、どのようなチームになったのか気になったが、そんなに問題ないような印象を受けた。
クリスティアーノとドゥドゥが仲良く話していた場面があったように選手的には(伊東純也もそうだが)何かと縁があるチームであるし、個人的に甲府のチャントは好きなのでアウェイでも良い試合をまた見たいと思っている。
この試合をスタジアムで観戦していたのだが、めちゃくちゃ寒かった。雨が降ったからなのだろうが…(もう7月だよ!)
最後に、DAZNで改めて試合を見たのだが解説の秋田さんの声って聞き取りづらいかな〜…なんて