
プレミアリーグ アジアトロフィー
7月27日に日本で横浜Fマリノスとマンチェスター・シティが対戦する。それに先駆けて、7月17日中国の南京オリンピック・スポーツセンターで行われた、プレミアリーグ−アジアトロフィー準決勝、マンチェスター・シティ対ウェストハム・ユナイテッドの試合を紹介したい。
両メンバーはコパ・アメリカやアフリカ・ネーションズカップ、U21代表などに出場した選手は帯同はしておらず、両チームは今季のプレミアリーグ開幕節の対戦カードである。
ウェストハムは既にオーストリアのチームと試合をしており今季2試合目になるが、シティは今季初の試合。また、シティはブッキングがうまくいかなく、2日遅れで中国入りした。
豪華すぎるベンチ
シティの前半は、11人中7人が新加入またはユースの選手であり、他クラウディオ・ブラーボ、ダニーロ、アイメリク・ラポルテ、ダヴィド・シルヴァがスタメンに名を連ねた。
特に新加入の選手では、PSVから買い戻したLSBのアンジェリーノ
フェルナンジーニョの後釜である、クラブレコード、6280万ポンドでアトレティコ・マドリーから獲得したロドリ(ロドリコ・エルナンデス)
またユースの選手ではプレストン・ノースエンドにレンタルされ、弟もシティユースであるルーカス・ヌメチャ
シティのレジェンド、マイク・ドイルとグリン・パードーの孫で、イングランドU 18のキャプテンであるトミー・ドイルがこれから注目したい選手だ。
前半のベンチはレロイ・サネやベルナルド・シウヴァ、ラヒム・スターリング、イルカイ・ギュドアン、ケビン・デブライネ、ジョン・ストーンズ、アレクサンダー・ジンチェンコなど昨シーズンのスタメンで活躍した、豪華なメンバーだった。
ユースにも浸透している戦術
シティは前半、ほとんどのメンバーがリザーブ組であっても、定石の戦術である、両サイドバックがアンカーの選手の両脇を固める配置でポジショナルプレーができており、ダビド・シルヴァはハーフスペース全てに顔を出す、普段通りの動きで相手チームの陣形を崩していた。
しかし、前半24分ウェストハムのGKロベルト・ヒメネスのビルドアップから中央をドリブルで抜けたミヒャエル・アントニオ
が右のフェリペ・アンデルソンにパス、フェリペ・アンデルソンがペナルティーエリア内でフェイントしたボールにスライディングしたアンジェリーノの手に当たりPK。(ここでのアンジェリーノは確信犯だった。)
そのPKをキャプテンのマーク・ノーブル
が決めてウェストハムが先制。この後のウォーターブレイクでペップ・グアルディオラはアンジェリーノにかなり指示を出していた。
ウェストハムはフェリペ・アンデルソンもそうだが、マヌエル・ランシーニは、一人で逆サイドにドリブルで走りスペースを作るなど、二人がいるだけでもチームの攻撃のバリエーションを増やすような、違いを出せるプレーが光っていた。
ここでのアンジェリーノの守備は、身長が高い選手でないためゴールキックやロングフィードで狙われやすい分、足元の強みは生かして欲しかったのだが、試合を通して守備の面で多少の荒さを感じた。しかし、攻撃面での52分のサネへのロングフィードは完璧だった。
前半33分、左サイドバックのスペースを埋めたロドリに気づいたダニーロが中央に残り、右にポジションを取っていた、バルセロナのカンテラ(下部組織)からシティの下部組織に移籍したドリアン・ベルナベ
にパス、そこから逆のハーフスペースのシルヴァにピンポイントのクロス、そのボールをシルヴァは簡単に胸トラップし左足で流し込んで同点。文句のつけようがない流石のプレーだった。
その2分後スローインからフィフティーのボールが続いた中、シルヴァがワンタッチでオフサイドにかからないような絶妙な浮き玉でヌメチャへパス、ドリブルでカットインしたヌメチャの足をアンヘロ・オグボンナ
が引っかけPKを獲得。ヌメチャ自ら右隅に決め逆転。この時、ベンチのペップは得点にはあまり興味がない様子だった。
前半ウェストハムはカウンターを狙っていたが、攻撃の起点となるアンデルソン・ロペスが何度もハーフスペースに侵入するシルヴァの守備に対応していたたため上手くいっていない印象だった。
シティはやはりポゼッションが高く、予定通りの試合展開だったと思う。新加入のロドリはまだフェルナンジーニョほどのプレーはできていないが、視野が広く、プレスのタイミングが絶妙だったのでリーグ戦では期待したい。
流石のプレーを見せた常勝軍団
後半開始から
イアン・カルロ・ポヴェダ
→サネ
シルヴァ→デブライネ
ヌメチャ→スターリング
ベルナベ→ベルナルド・シウヴァに交代した。
後半は、ポジティブトランジション(守→攻)でスターリングがCF、1.5列目に右からベルナルド、デブライネ、ドイル、サネといった配置。アンカーのロドリは前半と同じ役割だった。
後半59分、相手の最終ラインまでプレスをかけたロドリが相手のパスミスを誘発、インターセプトしたボールをダイレクトでサネがスターリングに2CB間を通す縦パスを供給、スターリングは落ち着いてGKとの1対1を決めた。ダイレクトでなければ、オフサイドになっていただろうし、普段は両翼であるだろう二人の素晴らしい連携だった。
後半61分には
アンジェリーノ→ジンチェンコ
ダニーロ→カイル・ウォーカー
ラポルテ→ストーンズ
ロドリ→ギュドアンに交代。
後半71分、ブラーボから中央のサネにピンポイントのゴールキックが通り、そこからベルナルドにパス、そして、縦パスに抜け出したスターリングがドリブルでボールを持ち出しシュート、それをGKヒメネスがセーブし弾きセカンドボールを回収されたが、そのボールにシティはゲーゲンプレスをかける。
よってデブライネがカット、その浮いたボールをサネが右に反らし、再びデ・ブライネが右でフリーになっているスターリングにパス、スターリングがシュートし、この試合2点目を決めた。
この場面は、後半から投入した選手のベルナルドとデブライネで右のハーフスペースを攻略。サネのカットインや左のハーフスペースにジンチェンコ、ギュドアンが流れてくることによって数的有利を作り攻略。これらによって相手の守備を崩したことが功を奏した。
ここでのウェストハムの守備だが、アンカーのカルロス・サンチェスはこの試合ボールを持ちすぎている場面が随所に見られたため、そこを狙われデブライネにカットされてしまったのだろう。
後半74分、ペナルティーエリア付近からFKでチチャリート(ハビエル・エルナンデス)
がゴール左下を低い弾道で巻いて狙ったシュートを、ブラーボが弾き、その弾いたボールをアンドリー・ヤルモレンコ
が詰めたが、ポストに当たり、枠を捉えられなかった。
このFKに対するブラーボの完璧なタイミングでのセーブは、昨季の怪我での長期離脱を感じさせないプレーだった。
後半のウェストハムの決定機はこれぐらいで結果4−1でシティが勝利。シティが決勝へと駒を進めた。

ウェストハムはアンディ・キャロル
とマルコ・アルナウトヴィッチ
の穴を今季フランクフルトから移籍したセバスチャン・アレ
がどう埋められるかが期待したいところである。また、昨シーズンを怪我で棒に振ったアルゼンチン代表のランシーニや今季獲得した、スペイン代表経験のあるパブロ・フォルナルス
にも期待したい。
悪童ナスリはコンパニーに連れられてアンデルレヒトに移籍した訳だし…
シティはセルヒオ・クン・アグエロ
やガブリエル・ジェズス
がいないと考えると今年もリーグ優勝は狙えるチームだと感じた
また、ジェズスはコパ・アメリカのブラジル代表では右のウイングをしていたので、ペップが今季のシティではどう扱うかが見所である。まあ、ブラジル代表ではCFがロベルト・フェルミーノだから機能したのかもしれないが…
最後に…マグワイア!今からでもいいからユナイテッドなんかやめてシティに来ないかい?